ものづくりの場所

レピア織り機のこと

レピア織り機のこと

レピア=中世ヨーロッパで用いられた細身の片手剣に似ている事から、名前の由来がきています。

レピア織機は「レピア」という槍状の金具がよこ糸をつかんで織ります。
高速で動かす事ができる上に、多様な糸の組み合わせも比較的に自由にできるため生産機として世界中で愛用されている織り機です。

自由な組み合わせができる反面、
目ではとらえにくいくらいの高速で動くために、タイミングの調整というのが非常に大事になります。
糸をつかむタイミング、切るタイミング、放すタイミングなど、合わせてあげないといけません。

糸をレピアが持っていくときにはさんむと切れてしまったり、放すときに引きちぎれてしまったりと、糸自体の弱さもさることながら、一分間に180回程度繰り返される糸の手渡し作業のような機械の動きにうまくシンクロさせないといけないので、テンションの調整なども含めて、うまく織れる様な状態を維持するのは一仕事だったりします。ここで熟練工の出番となります。
青文テキスタイルは色んな種類が違う糸を組み合わせたり多くの糸色を使用するのでこの様な調整が必ず必要になります。彼らの支えが有るからこそ生まれてきたテキスタイルが数多くあります。
組み合わせが自由だからこそ ”できる発想” と自由だからこそ求められる”調整する技術” 両方なければ成り立たない織り機達です。

nitoritoの製品では主にストールに縫い合わせているロゴを生産してもらっています。

丸編み機の事

丸編み機の事

nitorito製品の全てがこの丸編機で作成されます。

丸編み? 馴染みがない機械の名前かもしれませんね。
  円型編み機ぐるぐる回転しながら、作る布・編み地を、丸編み(knit)と呼びます。丸編みには、ジャージーという呼び方もあります。ジャージーという言葉が普及するまでは、日本ではメリヤスと呼んでいましたので、丸編み=ジャージー=メリヤスと覚えておいてください。
青文テキスタイルに設置しているのは6台の丸編機達。1台1台機種やゲージが違うので大量生産が苦手ですがその代わりに、全て個性豊かな編み地を表現してくれます1番古い機械は昭和50年代製、未だに現役で稼働してくれています。ある意味世界で1台しかないくらい貴重な機械です。
季節による湿度の変化によって糸が含む水分量が変わってきます。この微妙な変化を熟練の職人さんが機械と向き合いながら、傷が出ないように調整して行きます。この調整が長年の経験とも言いますか、、誰でも出来る訳ではありません。流石の技術です。

1台ごとの機械の特徴を捉えて、nitoritoに合う柄を考えています。

風合いを出す事

風合いを出す事

新潟県見附市で昭和20年より操業している、”吉田整理株式会社”
 
nitoritoストールの最大の特徴である、フェルト加工の全てを請け負ってくれる工場です。
nitoritoの製品は、機械油や不純物を全て取り除いてもらい、その後全ての製品に フェルト加工を施しています。フェルト加工とは水や弱アルカリ性を布に含ませて、 熱や圧力や振動を加える事でウールが絡み合い収縮する事を言います。

フェルト加工をする事によって、ウールが空気を含んだ様に膨らみ また風合いが首元に巻いてもチクチクしない程滑らかになります。

ただこのフェルト加工は、ほぼ手作業の工程や職人さんの経験や勘に頼る場面が いくつもあります。夏や冬では機械が温まる時間が違うのでフェルト加工をする時間を調整したりもします。
ウールはフェルトし過ぎると必要以上に絡まり硬くなります。
羊毛のセーターを乾燥機に長時間入れすぎると思いの外 縮んでしまうのをイメージ してもらうとわかりやすいかもしれません。
10分間でも乾燥機の中に入れ過ぎると風合いをダメにする可能性がある、それほど難しい繊維がウールです。特にnitoritoのストールは柄が複雑で色も多様しているので、それぞれ条件が違います。
何度も新潟に行き、現場の方々と打ち合わせの上、出来上がったのがnitoritoのストールの風合いです。

雪国ならではの寡黙さと粘り強さが生み出した 自信のある1枚です。
機械は何一つ最新のものはないけれど、だからこそ出来る暖かい温もりや風合い ここでしか生まれない物がある。お互いに信頼関係がなければ成り立たない仕事です。

切れること

切れること

「買ってから楽しむ、ひと工夫。」

私たちの提案するストールは、全て天然繊維由来の素材で作られており、4辺には余計な縫製をせず、切りっぱなしの仕様になっています。この切りっぱなし仕様を可能にするためには”ウールの特性”がポイントとなっています。
ウールは羊の毛ということもあり、とても優れた素材です。保温性はもちろん、撥水性、防臭効果、そして空気中の水分を吸収し発散することで蒸れを防ぐ効果もあります。また、ウールは土に埋めると微生物に分解され、土に還るサスティナブルな素材です。
一方で、デメリットもあります。それは、縮みです。素材の性質上絡まりやすいため、水に濡れた状態で力が加わると繊維同士が固まっていきます。洗濯機でセーターを洗うと縮んでしまうのはこの事が原因と言えます。
nitoritoのストールはこのデメリットを生かし、縮絨加工(フェルト化)を行い、繊維を固める事で切りっぱなしでも過度な力を加えない限りほつれてこない仕様となっています。この加工はとても難しく、一歩間違えると固いフェルトになってしまいますが、職人の確かな技術により、ウール繊維を程よく絡め、柔らかな風合いを最大限に感じるストールが出来上がります。

nitoritoのストールは、手元に届いてからひと工夫をする事で、自分だけのオリジナルストールになります。ハサミを使ってフリンジの長さを変えたり、腕を通す穴を作ったり。nitoritoのストールだからこそ出来る楽しみ方です。

最初に、フリンジの長さ調整について。購入時にはフリンジ止めが付いています。これを本体製品から切り離すことでフリンジがバラバラになります。お好きな場所にハサミを入れて自分好みの長さのフリンジを作る事が出来ます!
次に、腕を通す穴について。ストールの両側に小さな穴が並んでいます。この穴はガイドラインとなっていて、穴の繋ぎ目をひとつづつ切っていくことで大きな穴となり、腕が通せるようになります。両方に穴を作ることで、首回りに巻くだけでなく、ポンチョのように着る事が可能に。

私たちの提案する身に付け方以上に、商品が届いてから、みなさんにストールの可能性を見出してもらいたいという思いも込めてこのような仕掛けを作りました。
nitoritoのストールを通して、布を切るという”コト”に挑戦し、オリジナルストールを創造する”トキ”を楽しみ、日々の生活が豊かなものになりますように。

染めること

染めること

生地の色を表現するには ”先染め”と”後染め” の2つの方法があります。
先染めは、糸を先に染めてから布を作ること。
後染めは、布を先に作ってから染めていくこと。
nitoritoで使用する糸は、先染めの手法を用いています。先染めの方がストールを表現するのに 沢山の色糸を使用できるからです。米沢市に1件だけある小さな染め工場

”有限会社佐藤染色工場”

現在 nitoritoの製品に使用している色はざっと100色くらい。
100色といっても 使っている糸の種類はウールだったり綿、キュプラなど多様な糸を使っているので管理が大変。まだ小さなブランドなので使用する糸の量もほんと僅か、、それなのに100色も使えるのは、街の染め工場があるから。地元に力強い見方がいるから出来る事だと思う。
いつも無理を言うけど、対応してくれる。

1色染めるのにかかる時間は8時間くらい 染めて 乾燥して 梱包する
色が合わなくて染め直す事もたまにある。

彼らの努力がなければ nitoritoは成り立たない